【英雄ノ系譜】#5 報告と再会
【東ノ国・王城】
王様「ふむ……そんなことが……」
男「はい。やはり、魔物達の中で何かが起こっているような気がします。王国の警備も、もう少し強化した方がいいかもしれません」
王様「考えておこう。何はともあれ、ご苦労だった。ゆっくり休むといい」
男「はい、それでは失礼します」
剣士「お、男じゃん。帰ってきてたんだな」
男「おー、今さっき帰ってきたんだよ」
剣士「で、何かあったのか?」
男「うーん……スライムとかゴブリンとか、異常な数と戦ったし、森の中にスケルトンもいたんだ」
剣士「スケルトンか……強かったか?」
男「強かった。俺一人じゃ、勝てなかったかも」
剣士「ん? 誰か一緒に居たのか?」
男「え? あぁ、いや、一人だったよ!」
剣士「でも、今俺だけじゃ、って」
男「俺でもギリギリだった! ってことさ」
剣士「ふぅん……しっかし、お前でもキツイってことは、相当強いんだな」
男「世界の広さを知ったよ。俺なんてまだまだなのかも」
剣士「お前で弱いんだったら、この国はどんだけ弱いんだよって話だよな」
男「ははは……俺はこの後、魔法使いに少し聞きたいことがあるからもう行くよ」
剣士「おう! 修行するんだったら声かけてくれよ! お前とじゃないと俺も本気で取り組めないからな」
男「あいよ」
男「お~い! 魔法使いいるか~?」
魔法使い「あら、男じゃない。どうしたの?」
男「あのさ、スケルトンって知ってる?」
魔法使い「知ってるわよ。それが?」
男「王国から少しいった森の中で遭遇したんだけど」
魔法使い「え、本当? スケルトンは、魔界の近くにしか生息していないはずなんだけど……」
男「マジか。それってつまり」
魔法使い「……魔物の活動範囲が広がってきているってことね」
男「だよな」 魔法使い「だとしたら、何か原因があるはず……」
男「うん。ちょっと、俺なりに調べてみる」
魔法使い「えぇ。私も調べてみるわ」
男「うん……あ、そうだ。もう一つ質問」
魔法使い「なぁに?」
男「エルフって、どこらへんにいるの?」
魔法使い「なんで急にエルフの話になるのよ」
男「なんとなく……ちょっと興味が湧いてね」
魔法使い「ふぅん……エルフの存在自体は珍しくないけど、どこで生活しているのかはわかっていないわ。どうやら結界を張って、エルフ以外の種族が入れないようにしているらしいのよ」
男(やっぱり結界の中にいるのか……)
魔法使い「魔法に長けていて、噂では人間の知らない魔法も使えるらしいわ。ぜひ一度、会って話をしてみたいものね」
男「ふぅん……」
魔法使い「もし、会ったなら私に教えなさいよ」
男「わかった」
【それから数日後―――東ノ国・森林入口】
男「ふぅ……今日もスライム日和だ」
男「いくら狩ってもキリがないんだよなぁ……ほんとにどうなってんだ」 ガサガサ
男「おっ、またか?」シャキン
バッ!
男「って、あれ?」
エルフ「ひぇぇ……」
男「お前……何時ぞやの」
エルフ「そうですよ! 何でいきなり斬りかかって来るんですか!」プンスコ
男「ごめんごめん。ってきり魔物かと思って」
エルフ「ひどい!」プンスコプンプン
男「で、こんな所で何してたんだ? また薬草集めか?」
エルフ「あれ……何ででしたっけ?」
男「俺は知らないけど……」
エルフ「うーん、うーん……」モンモン
男「……」
エルフ「そうだ!」
ピコーン 男「思い出したか」
エルフ「あなたに用事があったんです! 長老が連れてきなさいって言ってました!」
男「えぇ~? それマジ?」
エルフ「マジですよ~」
男「なんか怖いんだけど……そもそも人間を入れていいのか」
エルフ「長老の許可が出てるので大丈夫です! ささ、行きましょう!」テクテク
男「お、おう……」ザッザッ