【英雄ノ系譜】#1 旅立ちの日
【一ノ国・王城】
王「おぉ、男よ。よくぞ参った」
男「お待たせしました」
男「緊急招集とのことでしたが、一体何が……」
王「うむ……お主にしか頼めぬことなのじゃ」
男「と、いいますと?」
王「最近、魔物の活動が活発になってきておることは、お主が一番よくわかっておろう?」
男「そうですね。近隣の森での魔物の目撃情報は増え続けています。襲われた村人も少なくありません」
王「そのことなのじゃが……」
男「もしかして、何かの兆しなのでは、と?」
王「鋭いのう。魔物の活性化を見るに、何か良くないことが起こり始めているやもしれぬ」
男「そこで、俺に調査を依頼するということですか」
王「察しが良くて助かるわい。この国一腕の立つお主なら心配は無かろうて」
男「はは、お褒めに預かり光栄です」
王「本心じゃよ。さて、さっそくじゃが旅に出て情報を集めてきてくれんか」
男「わかりました。あ、仲間も連れてっていいですか?」
王「もちろんじゃ。お主の仲間ならわしとしても心強い」
男「それじゃ、行ってきますね」スタスタ
王「うむ……む、そうじゃ、男よ」
男「はい?」ピタッ
王「これからは、”勇者”と名乗るがよい」
男「勇者……ですか」
王「そうじゃ。剣と魔法に長け、誰よりも強い勇敢な心を持ったお主にぴったりの名前じゃと思うのじゃ」
男「うーん」スタスタ
ガチャ
クルリ
男「いやぁ……はは、俺は勇者なんかじゃないですって」